夫と同じ職場で働いていたときに配属された新人の男の子がいた。
それから何年も経ってから、その彼のことを夫が「そういえば」と話し出すと
ツボに入ったようで、笑って続きを話せない。
しばらくして、ようやく話し出した内容は
仕事の話をしている彼の鼻から鼻毛が出ていたと。
しかも2本も。
だけど
夫の鼻からは、彼以上の鼻毛がはみ出していた。
鼻毛出てる人から、別の鼻毛出てる人の話聞いてもねぇ。
そもそも、なぜ夫がそんなに笑ったのかと言うと
学生時代に遊ぶこともなく勉強に打ち込んできた真面目で常にきっちりしている彼が、よもや鼻毛が出ているところなんて想像できない彼が、鼻毛を出しながら真面目な話をしていた、という事実が衝撃的だったんだろう。
この話の主人公が夫だったら
「だよね」
「そうだ思った」
と普通に納得してしまうので、意外性もなにもない、取るに足りない話題になってしまう。
むしろ
出てるのが普通だと思ってたけど意外と出てるときのほうが少ないんだね、と好感度が上がるかもしれない。
そんな真面目な彼は、のちに会社の上司に連れていかれた「綺麗なおねえさん達がお話してくれるお店」の魅力にハマってしまい、1人で足繫く通うようになり、そこで出会ったアジア国籍の女性と結婚した。
その数年後、お嫁さんは急に自分の国に帰ってしまい、連絡も取れなくなったと…。
連絡先も分からないので離婚もできないと……。
……。
彼の人生に幸あれ